「契約書には印影が必要」というイメージがある方も多いのではないでしょうか。
実際は必ずしも契約書に印影が必要というわけではありません。
こちらでは電子契約における印影が不要な理由についてご説明いたします。
1. 電子署名が電子契約書における契約の証跡となる
現在の電子署名には暗号技術が使われており、契約日時や契約者の情報が組み込まれています。
その電子契約書が改変された場合は技術的に検知することができ、いつ電子署名を施したかも正確にわかります。
これらの機能により、紙の契約書に押印したもの以上に強固なセキュリティを担保できます。
そのため、改ざんされていないことが保証された電子契約書と押印された紙の契約書は同等の効力があるということになります。
2. 電子署名法では印影が不要である
2001年に施行された電子署名法により、電子署名が本人によって施された場合には、紙の契約書に署名または押印したのと同様に、真正な成立を推定することが明記されました。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
電子署名法の条文上も、電子契約書に印影を付与することは求められていません。
したがって、電子署名に印影は不要だと言えます。
また、経済産業省がホームページに掲載している「押印に関するQ&A」でも、押印による印影がなくとも契約の効力に影響は生じないことが、明記されています。
Q1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、印影がなくても、契約の効力に影響は生じません。